なかなか自宅から出て写真撮影が出来なかった2020年の6月。少しだけ散歩に出かけ、お花屋さんで紫陽花を買って部屋に飾り、写真を撮りました。最初は窓から入る太陽の光でそのまま紫陽花を撮っていましたが、部屋のカーテンを使って太陽の光を調整することを思いつきました。カーテンを閉めて部屋を一度暗くしてから、カーテンを調整して隙間から少しだけ光が差し込む状態を作り出し、そこに紫陽花をレイアウトして撮影。イメージ通りの光と影を作り出すことができました。(文・坂井田富三)






 毎年自宅のベランダで育てているアサガオ。東の空からの明るい日差しを利用するために鉢植えの花の利点を活かし、自分が意図するライティングを作り出します。鉢植えの花であれば、花の角度、方向、高さを自由に移動させることができ、刻々と変わる太陽の光の位置に合わせることができます。こんなことができるのが自宅撮影の最大のメリットで、お気に入りの花を育て、お気に入りのタイミングで撮ることができます。強い朝陽を最大限に使い、凛として咲いたアサガオのおしべ・めしべをシルエットで表現し、全体的にシンプルに表現するために、黒い素材を背景に置いて撮影しています。(文・坂井田富三)






 すらっと伸びた茎に真上に向いて開いたコスモス。屋外の撮影であれば、こういった被写体は風の影響を受けて、ピント合わせ・構図が安定しません。しかし室内で撮影すれば、じっくりと構え、被写体を観察して向き合うことができます。屋外の自然の状態で撮れば、背景は反対色のグリーン系になりますが、あえて類似色に近い紺色をセレクトしてシックな感じを演出しました。光は少し弱めの蛍光灯のライトを使用し、左斜め前からコスモスに当てています。光の当て方一つで、花の表情は大きく変わります。自宅での撮影であれば、試行錯誤しながら光の当て方を変え、時間をかけてじっくり作品づくりができます。(文・坂井田富三)



さかいだ・とみぞう
1967年生まれ、横浜市在住。写真小売業で27年勤務したのち独立し、フリーカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、ネイチャー・ペット・スポーツ・風景などを撮影。その他カメラ・レンズなどの製品レビューの執筆をおこなう。公益社団法人日本写真家協会会員、日本風景写真家協会会員、NPO法人 フォトカルチャー倶楽部 参事、一般社団法人 日本フォトコンテスト協会 理事、一般社団法人 日本写真講師協会 理事。