秋山庄太郎のスタジオでの花撮影は、近所の生花店での花選びから始まります。秋山自身が仕事の合間を縫(ぬ)って生花店に足を運び、1本1本を自分で選びました。その理由を秋山は、次のように語っています。

「同じ種類の花にしても、自分の好きな咲き具合や姿というものがあるからで、何も植物図鑑の写真のように程よい咲き加減が、いいのではないからだ。たとえば、私はチューリップの花弁が少し開きすぎた、ふわりとした趣がとても好きだ。その姿を撮ることは、私の美的感覚の主張でもある。」(1994年)

このように語る一方で秋山は、つぼみのチューリップも撮っていることもあります。花の魅力は多種多様で、こうでなければいけないと決めてかかることはありません。撮りたいと感じるその時々の自分の気持ちと素直に向き合いながら、花選びを愉(たの)しんでみてはいかがでしょうか。(文・秋山庄太郎写真芸術館)