「最初は、花の造形美を観察することから始めた。じっくり観ると、花というものがいかに素晴らしいかがよくわかる。普段、花を観ていても、意外とすらっと見過して細かく観ていないものだ。それが、写真に撮るとなると、じっくりと観察しないといけないわけだ。」(1987年)

秋山庄太郎は人物写真を撮るとき、撮影前に会話をしながら、その人のいい表情を探しました。花も同じで、まずはその姿かたちをよく観察し、最も美しく見えるアングルを見つけることがポイントです。このアネモネは真横から撮っていますが、ふんわりと広がった花びらは、エレガントなドレスのようです。一輪ごとに異なる、花それぞれの個性と向き合ってみましょう。(文・秋山庄太郎写真芸術館)