「花を組み合せたり、いつ、どんな角度から撮るのか、構図を考えることがいちばんの基本です。三脚は使いません。カメラを手に持って、のぞきながら、花の美しいかたち、あなたの好きなところを探します。三脚にカメラをつけてしまうと、自由になりません。」(1992年)

秋山庄太郎は花や風景を撮るとき、シャッターを押す瞬間まで構図にこだわりたいという理由から、三脚を使わず手持ちで撮影していました。三脚を使用するべきかどうかは、撮影者によって考え方に違いがあるところですが、秋山の構図へのこだわりの強さを、このエピソードから知ることができます。

なお、構図については子どもの頃に母親から生け花を習った経験が役立ったといい、「花を生ける構図というものは――それは三角形構図みたいなものだが――写真の構図と共通点があるのだ」(1987年)とも語っています。とはいえ、秋山の花写真がどれも三角形の構図であるわけではありません。構図はかくあらねばならない、という定式に拘束されることなく、あくまでファインダーをのぞきながらいい構図を探るというのが、基本的な姿勢だったといえるでしょう。(文・秋山庄太郎写真芸術館)



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