Vol.8 秋の花を愉しむ
〜第40回カメラ散歩in新宿御苑〜
(実施:2023年11月5日)

2023年11月10日更新

秋山庄太郎の撮影地を訪ねて撮り歩く「カメラ散歩」。2014年に始まり、来年はいよいよ10年目……時が経つのは早いものです。

今回は、第1回からお馴染みの「新宿御苑」へ秋の花を撮りに行きました。


桜の花といえば春のイメージがありますが、ここでは秋に咲くコブクザクラのかわいらしい姿を見ることができました。


存在感を放つダリアを、秋山庄太郎が愛用していたものと同型のソフトフォーカスレンズで撮影してみました。



アメジストセージの間を踊るように飛んでいた2羽のアゲハチョウ。




整形式庭園では、さまざまな色や形の美しいバラが咲いていました。




日本庭園では毎年恒例の菊花壇展が開催され、雅な光景に圧倒されました。



旧御涼停の池。墨絵のような世界で水面に映り込む菊に心奪われました。



日本庭園の上の池ではサギが水中の生きものを狙っていて、その様子に見入ってしまいました。



今回は久しぶりの方や、初参加の方もおられました。

新型コロナウイルスの流行などもあり、しばらく開催を控えていたカメラ散歩ですが、10週年に向けて新たな楽しい企画を検討中です。新しい情報は当館ホームページやFacebook、インスタグラムでお知らせします。

【お知らせ】
第20回秋山庄太郎「花」写真コンテスト、作品応募受付中です。締切は11月30日(必着)。秋の行楽シーズン、旅先で撮影した花写真でコンテストに応募されてはいかがでしょうか?

詳細はこちら→ lhttp://akiyama-shotaro.com/hanacon-sppage.html
応募要項→ http://akiyama-shotaro.com/hanaconvol20.pdf




Vol.7 庄太郎の愛用図鑑

2023年8月9日更新


秋山庄太郎は、自身の展覧会や講演会で花作品の解説をする際、感心して聞いている人にさりげなくこう言いました。

「よろしかったら、ご自分でも植物図鑑などでお調べになってみてください。人から聞いたことは忘れてしまいがちですが、自分で調べたものというのは案外忘れないものですよ」

庄太郎の花についての知識は多方面におよび、種類、文化史、神話、花言葉、プラントハンター(有用植物や観賞用植物を探索する人のこと)の発見物語、見頃、名所に至るまで、メモも何も見ないまま話すことができました。花の写真家どころか、専門家や博物学者といってもいいほどでした。

そうした知識の源泉になったのは、庄太郎が手元においていた数多の植物図鑑でした。中でも座右の書といえる一冊に『牧野新日本植物圖鑑』(1963年発行八版、北隆館)があります。著者はNHK朝の連続テレビ小説『らんまん』(2023年、主演:神木隆之介)の主人公のモデルにもなった、植物学者の牧野富太郎(1862〜1957)。本書の裏表紙の見返しには、富太郎の孫の岩佐まゆみさんが庄太郎に謹呈された旨が記されています。





秋山庄太郎愛用の『牧野新日本植物圖鑑』(秋山庄太郎写真芸術館蔵)


ちなみに、庄太郎も朝ドラ、とりわけ『さくら』(2002年、主演:高野志穂)が大好きで、出張先のホテルでも欠かさず観ていました。もし存命なら、花好きの庄太郎はきっと『らんまん』も楽しんで観ていたかもしれません。

皆さんも、道端で出会ったり、きれいだなと思って撮影した花のことを、図鑑で調べてみてはいかがでしょうか。





Vol.6 動物園はシャッターチャンスの宝箱!
〜カメラ散歩inズーラシア〜

(実施:2023年7月15日)


2023年7月19日更新



秋山庄太郎は花だけでなく大の動物好きでもありました。

13歳の時、初めて自分のカメラで撮影したのは愛犬が伸びをするシーンでしたし、自身のスタジオでも長年犬を飼っていました。写真集には馬や羊、小鳥など多くの動物たちが登場します。ちなみに、秋山庄太郎は動物と会話を交わしながら写真を撮っていました。

生前、よこはま動物園「ズーラシア」(神奈川県)で撮影する企画が持ち上がっていましたが、残念ながら実現には至りませんでした。

7月15日(土)、9カ月ぶりのカメラ散歩をズーラシアで行いました。通常、カメラ散歩は秋山庄太郎の撮影地を探訪する企画ですが、今回は特別版として、秋山庄太郎が「行くはずだった」場所へ出かけました。




撮影:上野正人(秋山庄太郎写真芸術館)

撮影は「アフリカのサバンナ」エリアからスタート。
キリンがちょうど二頭重なり、ちょっと不思議な写真が撮れました。



撮影:秋山啓佑(秋山庄太郎写真芸術館)

大きな耳が可愛らしいリカオン。この日も暑さが続き、木の影で涼んでいました。



撮影:齋藤智志(秋山庄太郎写真芸術館)

ミーアキャット。じゃれあったりコンクリートの下に固まって隠れたりとにぎやかでした。



撮影:齋藤智志(秋山庄太郎写真芸術館)

ライオンの鋭い牙は貫禄を感じさせます。



撮影:上野正人(秋山庄太郎写真芸術館)

「アフリカの熱帯雨林」エリアにて、ズーラシアの人気者オカピ。この時はちょうど食事の時間で、長く伸びる舌で葉っぱをおいしそうに食べていました。



撮影:舘弘美(フォトアーティスト/秋山庄太郎写真芸術協会)

今回メインに撮影した「アフリカのサバンナ」「アフリカの熱帯雨林」エリアから、参加された皆さんと一緒に正門へ向かいました。フンボルトペンギンが高らかに鳴き声をあげ、まるで合唱しているかのよう。



撮影:上野正人(秋山庄太郎写真芸術館)



撮影:秋山啓佑(秋山庄太郎写真芸術館)

ズーラシアの魅力は動物たちだけではありません。花々も美しく咲き誇っていました。



撮影:秋山啓佑(秋山庄太郎写真芸術館)

閉園時間(16時30分)間近、動物たちもじょじょにねぐらに戻っていきます。
秋山庄太郎だったら、ズーラシアの動物たちとどんな話をしながら、写真撮影をしたでしょうか……。


皆様も、カメラを持ってお近くの動物園や公園に出かけてみてはいかがでしょうか。今まで気づかなかった魅力や、「これだ!」と思うようなシャッターチャンスに巡り合えるかもしれません。

素敵な写真が撮れたら、ぜひ「第16回秋山庄太郎記念米沢市写真文化賞」にご応募を(8月10日(木)まで)!花を主役にした写真は「花部門」、今回ご紹介したような動物写真は「自然・生き物」部門に。
詳細→米沢市ホームページ
https://www.city.yonezawa.yamagata.jp/5864.html

次回のカメラ散歩は、ホームページやFacebook、インスタグラムでお知らせします。








Vol.5 七つ道具 2022年10月26日更新



「七つ道具」。『広辞苑』によると「七種の道具。また、一組にして携える種々の小道具。」とあります(後者の意味に従えば、七つとは限らないということです)。秋山庄太郎の花撮影の「七つ道具」のひとつに、背景ボードがあります。主役の花材を引き立たせる効果があるのはもちろんのこと、背景色の違いだけで同じ花でも異なった雰囲気に見えてきます。スタジオで使う大き目のものから、トートバッグにも収まってしまう小さなお出かけ用のものまで、手作りで何種類も用意していました。
背景ボードは、色画用紙を厚紙など少し硬めの板状のものに貼り付けるだけでも簡単に作ることができます。また、無地の段ボールをそのまま使うと背景が金箔の様に写ります。まずは気軽に挑戦してみましょう。

花写真コンテストについての詳細はこちらをご覧ください。








Vol.4 特別編 カメラ散歩in新宿御苑 2022年10月18日更新



秋真っ只中の10月16日(日)。「新宿御苑」(東京都新宿区)で久しぶりの「カメラ散歩」(通算第38回目)。カメラ散歩の常連で、「花」写真コンテスト審査を担当されてきた、8月12日に86歳で逝去された丹地敏明先生をお偲びしての開催です。
13時から15時ころまでの間、25名ほどが参加。遠くは愛知県から。最年少は3歳でした。
丹地先生がお好きだったコースを辿っての撮影。
「日本は南北に長い列島、四季を通して花が咲く、世界に冠たる花大国」。秋山庄太郎の花写真集の後記や随筆などに、そんな一文を見ることがあります。新宿御苑の園内には、いろいろな種類の桜が植樹されていて、秋にも十月桜がちらほら咲いている光景に出会うことができます。
大温室での撮影。秋山庄太郎は「花の撮影は、自然の移ろい『春夏秋冬』の四季のほかに、もう一つ加えたいね。それは『温室』。咲く花が寂しくなった時期や悪天候のなかでも、ここだけはいつでもたのしませてくれる」と言っていました。
玉藻池では大きな亀や猛スピードで飛ぶカワセミ(あまりの速さにシャッターも追いつかず)を見かけました。都心にもこんな生き物がいるのかと驚かされます。

フランス式整形庭園のバラは、咲きそろうまでもう少し……といったところです。





秋と言えば枯れ葉。紅葉はまだまだでしたが、面白い形に穴の開いた葉っぱを見つけました。

「今日、御苑で撮れた作品を応募します!」と、これから花写真コンテストに応募される方もおられました。
「気の合った仲間と一緒に撮るのがいちばん」とは、秋山庄太郎の晩年の口癖。ほのぼのムードの午後のひと時でした。ご参加いただいた皆様、またお会いしましょう。

生前、写真の愉しさを教えてくださった、丹地敏明先生のご冥福をお祈り申し上げます。

花写真コンテストについての詳細はこちらをご覧ください。


10月20日(木)発売の『風景写真 2022年11−12月号』に丹地敏明先生の追悼特集が掲載されるそうです。








Vol.3 新宿御苑 2022年10月14日更新

秋山庄太郎のお気に入りの撮影地のひとつに、「新宿御苑」(東京都新宿区)があります。開花時期が異なるさまざまな種類の桜、春と秋に見頃を迎える整形式庭園のバラ、珍しい熱帯の植物が展示されている温室、11月の菊花壇展など、年間を通しての花の名所です。秋山庄太郎はおよそひと月に二度は訪れていました。ここで撮影した花写真はかなりの数にのぼります。

2003年、秋山庄太郎が亡くなる数日前の最後の屋外花撮影も、この新宿御苑。その前年秋に第1回が催された「秋山庄太郎『花』写真コンテスト」を「ハイレベルの応募作。有数のコンテストに成長するだろう」と口癖のように言っていました(今年の「第19回 秋山庄太郎『花』写真コンテスト」についてはこちらをご覧ください)。

〈お知らせ〉
今年(2022年)8月12日に亡くなられ、秋山庄太郎と親しく、新宿御苑を愛した写真家・丹地敏明先生をお偲びし、「カメラ散歩」を開催します。詳細はこちらをご覧ください。
→終了しました







Vol.2 もうひとつの愉しみ 2022年10月12日更新

「フォトコンテストに作品を出したいけど、なかなかいいのが撮れなくて……」とお悩みの方、いったん気分転換をしてみてはいかがでしょうか。

今回の写真は、秋山庄太郎が神代植物公園(東京都調布市)で撮影したものです。神代植物公園がある深大寺の前にはお蕎麦屋さんがズラリと並んでおり、一軒一軒味も異なります。秋山庄太郎ごひいきのお店が何軒かあり、撮影の前後によく通っていました。この写真を撮影した日も、きっと美味しいお蕎麦に舌鼓を打ったことでしょう(当館主催のイベント「カメラ散歩」で神代植物公園に行った時も参加者の皆様と立ち寄りました。絶品でした!)。

撮影に出かける時は、撮影そのものだけでなく様々な愉しみもあるといいでしょう。撮影地の近くに美味しいカフェはないか?面白そうな写真展をやっているギャラリーはないか?好奇心を広げれば、感性が磨かれ、きっと良い作品づくりに繋がるでしょう。







Vol.1 秋山庄太郎とダリア 2022年10月7日更新




第19回秋山庄太郎「花」写真コンテストの応募期間も半分を過ぎ、続々と作品が寄せられています(2022年10月31日必着。詳しくは(「応募要項」をご覧ください)。

本コンテストは「福祉支援」を理念のひとつとしています。

今回ご紹介するダリアの作品は、知的障がい者施設が運営している「町田ダリア園」(東京都町田市)で撮影されたものです。秋山はここで利用者やスタッフの方々と交流を深め、毎年撮影会を行いました。また、「町田ダリア園」と「川西ダリヤ園」(山形県川西町)との交流の橋渡しもしています。

「秋山庄太郎「花」写真コンテスト」では、グランプリ・特選の計10作品は福祉施設に寄贈し、好評をいただいています。見ていて心が穏やかになるような、そんな思いを共有できたら……というのが、本コンテストの志のひとつでもあります。